2012年8月23日木曜日

UX~これをみんなどこまで考えてる?~


8/22(水)Pop-up Hub Vol.5 「Webと環境デザイン ~これからの情報社会~」
に参加してきました。


スピーカー:
○山本 郁也
インフォメーションアーキテクト / UX Tokyo / 東京電機大学 建築・環境計画研究室 連携研究者 

特定非営利活動法人 /人間中心設計推進機構 正会員 / 米IA Institute会員
○石橋 秀仁
ゼロベース株式会社 代表取締役社長 ウェブ・アーキテクト 

GMO Venture Partners株式会社 シンジケーション・パートナー

ファシリテーション:
江口晋太朗
Hub Tokyo Founding / Hosting member.コンテンツディレクター


------------Talk Sessionのテーマと流れ------------------------------------------------------------------------------

活や環境の中におけるWebの重要性、情報社会を担うWeb制作に身を置くことのついて。
また、Webのデザインだけに留まらず、空間や環境、人間のことを考えたユーザエクスペリエンスデザインや
デザイン思考など、様々な思考のフレーム ワークや手法をもちいながら日々活動をおこなっている
お二人から「人間とWebと建築」「生活、社会の中におけるプロダクトやサー ビス、そしてその未来」
などについてお話を伺った後、お二人の考えをもとに参加者とセッションを展開していきました。

参加者はWebを作っている人も作っていない人もいたり、この日のために神戸から来た学生さんもいたりと
実に様々でした。

以下、Talk Sessionで私がメモできた範囲で文字におこしてみました。
所々話が抜けてしまっているところがあります。すいません。
抜けてしまっていて理解できない部分は、読みとばしてください


------------Talk Session 【※全てのトークは網羅できていません】------------------------------------------------
■山本さん:IA / UX Tokyo / 東京電気大学の研究室で小児病棟の環境制作をしている。

        Webってすごいよね。でもメディアって、Webのことを小さく取り上げがちに感じる。
       たとえば、アプリのリリースとか。もっと先のことを考えていきたい。

■石橋さん: ウェブ・アーキテクト / IA

                 アーキテクトは、画面設計(サイトマップ作ったり、フレームワーク作ったり)に留まるものではなく
                 アーキテクト=建築なんだ。
                 建築家-ル・コルヴュジェ→近代建築  http://p.tl/EHSA

         buildingは1個の建物 ⇔ アーキテクト=普遍的で横展開していけるもの
                                  世界中どこにいっても・・・といった具合に。
                                  ル・コルヴュジェはこの、アーキテクトをやった。思想をもってた。

■江口さん:皆が言ってるWebって何なの?

■山本さん:....スマホ... 何か新しいものが出てきたときに、繋げたがる人がいる。
          言葉としての「ソーシャル」が流行ってる。mixiが出た頃なんて誰もSNSなんて言ってなかった。
        mixi、mixi言ってた。

■石橋さん:(自分は)Twitterはやっている。Twitter4万tweet超えた(笑)LINEとかやんない。
          「好きなもん使えばいいのに」と思う一方で、コミュニケーションツールの選定って、いわば政治なんだ。
          皆使ってたらそれを使う(使わざるを得ない)、みたいな状況が出てくるから。

■江口さん:地方に行くと、コミュニケーションツールの違いを感じる。電話やメールかもしれない。
       メールすらないかもしれない。コミュニケーションのし方が多様化してる。

■石橋さん:ICTデザインにおいて、を入れないのはおかしい。回覧板とかあるじゃん。
          Webやってる人が、を最初からやんないっていうスタンスでいるのはおかしい。
          適切なメディアの選定が必要。だから、ICTデザインはアナログもデジタルも両方で考えるべき。

■山本さん:情報ってWebだけじゃない。情報は伝える技術。
                要は情報って、理解して、何かしら選択ができてそこではじめて価値があるだ。
        cf)『ハンバーガーを待つ3分間の値段』
           http://goo.gl/4wTUm

           あと、「誰がみるんだ?」と思ってしまうような情報がすごく嫌い。
        例えば、すごく小さい標識とか。→Navigationの重要性

■江口さん:UIとUXの明確な違いとは?

■石橋さん:UXは人間の内面の主観的な体験であるのに対して、UIはモノ、人工物の側。
          UXはユーザーに適切な体験・動きをしてもらうためのものだが
                これをみんなどこまで考えてる?

■山本さん:考えてないんじゃないですかね?苦笑

■石橋さん:デザイナーの上から目線、作る側が使うよりえらいという視点があるがこれはいかがなものか。
           自分がいつも考えているのは「ユーザーの自由度をいかに残すか」。制約によって自由になる。
           なので、その制約をどうデザインするかが重要。
           ⇔これはこう使うのが正しいって決められているようなもの

           どういう意味があるか、考えてるIAがいない。

           Twitterって最初はルールがなかった。ユーザーが使ってるうちにRTとか
           自分たちで自生的秩序を発見し、様式化していった。
           そういう意味では、(ユーザーの自由度を残してたという点で)創業者の
                   Evan Williamsは優秀なアーキテクトだった。
     
■石橋さん:Alan CooperのGoal Directed Designというのがあって、これはユーザーの達成したいゴールまで
       ゼロフリクションで導かせるというものなんだけど、自分はこれ嫌い。

■山本さん:『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』って本があるんだけど、これすごく面白くて良い本。
          絶版になってるけど、図書館とかで読めるはず、ぜひ読んでみて。
          http://goo.gl/dVQwP

■石橋さん:①ユーザーの顕在化した欲望に応えるだけのデザインじゃなくって
       ②ユーザーを啓発するようなデザインをしなきゃいけない。
          常に自問自答して、ユニバーサルを追求すべき。
          ①は子どもがほしがってるおもちゃを全部買い与えるような親のようなもの。

■山本さん:ユーザー自身も自分が欲しがってるものが分かっていないことがある。今あるもので慣れているから
       それでいいってなる。もっとできることあるのに、と思う。未来思考でいこう。


■石橋さん:人間のコミュニケーションには2種類あると思っていて、人間的な理性と動物がある。
                 理性:慮る⇔本能:動物的なふるまい e.g)サルみたいにRTしまくる、イイネ!おしまくる

          人間の総合的な経験だから、Webだけ考えても仕方ない

■江口さん:情報の量の増加。かるい情報のやり取りってふえた?

■石橋さん: それに関しては、1年とか長期でみて、人間の理性と動物の本能のバランスが
                  とれていれば良いと思う。
         e.g. 自分だって、ニコ動みて、サルみたいにRTしまくって1日終わってたみたいなことある。   
         でも、次の日とかにがっつりblog書いたりしてる日もあるわけで・・・
         そんな風にバランスとれればいいんじゃないですか?


■山本さん:どんな変化がきてもいいように準備しておくのが大事。
       Webって歴史が浅い。だから、もっと歴史の長い、近いものから取り入れられないか?と考えた。
       それで、建築が近いんじゃないか?と思った。建築は歴史を遡れる。
       もっというと生物学とかまで遡れる。これらは知識として活用できる。

       過去を見ながら今、これからをみる人が必要。 

■石橋さん:不勉強会でそういうことを考えたい。 cf) 不勉強会http://zerobase.jp/blog/book-dinner.html

■石橋さん:Webに建築史は必須教養だと思う。      
        モノづくりには2種類ある。
           ①Fab labとかユーザー自身によるモノづくり(DIY)
                ②作る側がえらい、専門家としてのモノづくり

          Webってセミプロとかいるでしょ?教養のなさのうすっぺらさを感じることがある。
          そういう意味だと建築ってバランスいいんですよ。理工と人文両方入ってるから。
     
          「IAっていうスキル」とか、「IAができる」っていうのは違う。
          アイデンティティとしての「IAです」っていってほしい。 そこには哲学がある。

■石橋さん:UXはオペレーションの書くっていうことだけが仕事じゃなくて
                過去・今・未来を考えるっていうことも重要なんだ

          未来を考えるとき「ありえる」と「望ましい」の両方重なる部分を考えないといけない。
            望ましさとは、教養(価値観、人文知等)
          専門家としての社会的責任
         

■山本さん:建築って影響が大きい。Webって先を見据えれてない。よくない。
                  5年後、10年後にもあるようなサービスが ほとんどないように思う。
                  考えてモノをつくることが大事。     
            Webって自己満足じゃすまない。世界に与える影響が大きいんだから。

■石橋さん:人工物のガバナンスの話。相応しいか相応しくないか。
          人工物のガバナンス考えていかないとモノが暴走する

       使う側の責任という視点もある。そういう議論ができる土壌を作りたい。   
       
■山本さん:知らないって罪だ。知らず知らずに人を傷つけてしまうから。
       e.g. 道路に車いすの人が通行していたら、どうするか
       道路の段差や傾斜、マンホール等、車いすの方にとって危険なこと。
       知らないと車いすの方を危険にさらすことになる。
     
       使う側への教育は専門家の責任。
     
■石橋さん:教育に関して、『デザインの教科書』っていう本は良い。http://p.tl/nwp1

        ウェブ版「暮しの手帖」みたいな、ユーザー自身がライフスタイルにあわせて
         自分にふさわしい情報環境を自らデザインするためのガイドブックを出せないか。
      
■山本さん:責任をもつことが大事。
          私たちは情報革命という革命の渦の中に身をおいている。当事者意識が必要
          犠牲になってる人たち、使いこなせない人たち、彼らの悲鳴に耳をすます。
          一人ひとりが自覚する必要があるけど、どう自覚する人たちを増やすか?
                どう教育すべきか?←課題

■石橋さん:(自覚する、考える機会として)不勉強会来て!
          エリート的なものを引き受ける人を増やしたいけど、全員がそうなる必要はない。
          DIYとエリート両者を経験するのもあり。DIYでアプリとか、作ってみたらいいと思う。
                作るとね、使い方も上手くなるんです。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今回会場を使わせてくださった英治出版さんのミーティングルームの壁に
Hub Tokyoの小林くんがトークの内容をまとめてくれました。
                                   

スピーカーのお二人のお話の後、参加者を交えてのセッションがあり
次に、その中で出てきたトピック3つのグループに分かれ、さらにグループで議論しました。

----------------(3つの内の1つ)情報環境のデザインgroup--------------------------------------------------------
※◇◇さん:は同一人物。名前を記録できていなかったため、このように表記。

◇◇さん:Webって、インフラとして水とか電気と何が違うんだろう?Webは無くても死なないけど。

確かに無くても死なない。私は2つ違いがあると思う。
  ①Webは今までできなかったことを可能にする、可能性を秘めてるインフラだと思う。
  まだ歴史も浅いし発展途上なインフラ?
    だから水とか電気と比べて、Webは作る側・使う側の倫理観も浅い皆で考えていかないといけない。
     ②無くても死なないだけに、使う・使わないも選択できるそして使う、の中にもいろんなツールがあって
   またその中から選定することになる。  ①も②も今日でたお話の中にあったことだけど。。
  
私:今回のsessionにはなかった話だけど、私はWeb系の集まり(某Techフェスとか
  アプリ開発コンテストとか、今日のこの場とか)の男女比のバランスの悪さが気になる。
  今回のお話の中に、考えるとか、議論することの大切さがあったけど、そういう考えるにおいては
  男女比のバランスが悪いと良くないんじゃないかな。考えが偏りそう。

江口さん:男と女の行動の特性にもよるかな。
       男:うちまかすとか、議論するとかする⇔女:共感する
        男って良かったものはシェアしない。自分だけのものにしておきたい。
       ⇔女子はシェアする
       そういう意味ではSNSは共感の要素が強い。
       それに、Web系の中でも確かにエンジニアとかは男の人多くても、デザイナーって女性多かったりする。
       女性は自分の作ったデザインを人に見せたがる傾向ある。加えてこれから共感のSNSがどんどん
               広がってきたら、女性がもっとWebに関わってくるようになるんじゃないかな。

◇◇さん:Webは男女比偏りあるっていうけど、自動車とかの集まりだって男ばっかりだよ(笑)

江口さん:情報環境って、どういうふうに情報を得ているか。

小林くん:情報を選択できるのはちょっと怖い。自分が興味ある情報だけを見ようとすれば、みれる。
      その他をシャットアウトできる。

私:怖いけど、私はそうせざるを得ないってわりきっている。皆がみんな同じ情報をみているわけじゃないから
  私が知らない情報でも自分の周りの人が知ってて、その人を通じて知れるならそれでいい。
  私もきっと、その人が知らない情報を得ているだろうから。
  情報の補いあい?をいかに可能にするかが大切だと思っている。

------------------さいごに-----------------------------------------------------------------------------------------------------
今回のTalk Sessionでは、第一線で活躍されているゲストのお二人の深い概念的なお話であったり

Webにとどまらない、広い情報環境や社会デザインに及ぶお話を聞くことができました。

~Webであれ何であれ、環境に関わることをする人には責任がともなうこと。
うすっぺらい考えで作るんじゃなくて、自分なりの哲学と責任をもって作ろう~

Webを作っていない私ですが、「使う側の責任について」、「日々の生活の中の情報環境のデザイン」等
これからも考え続けるきっかけとなる、たくさんのモヤモヤが残ったイベントでした!^^;

また、コミュニケーションツールの選定の「政治的な側面」に関しては、このblogの執筆中にも
個人的にもやもやしていました(笑) 私はSkypeで話したいのに、友人に「Skypeでどうやって電話するの?」
と聞かれてしまい、心の中で「ググれ」と思いながらも、その時は説明するのが面倒で
相手にあわせ、電話で妥協しました。。もやもや

でもこれって学生どうしならまだ、「お願い、これ使ってよー」「しょうがないなー」で済むこともあると
思うんですが、今では社内SNSや組織のコミュニケーションツールの開発も進んでいるので
何らかの組織で活躍される方には、もっと深刻な政治的問題になってくるのだろうなと思いました。


Keep Thinking & Have Flexibility!!


何かご質問がありましたら
@yuri_hamadaまでどうぞ。




2012年8月6日月曜日

何を怖がってたんやろう : クリエイティブの可能性






8月2日から8月5日の4日間


「クリエイティブの可能性(以下:クリ可)」という東日本震災復興支援活動に参加しました。
「クリ可」が始まった経緯は割愛させていただきますが、詳しい説明はこちらをご覧ください。

クリエイティブに託し、その後を追う(支援者の方の思い)

--
    まだ被災地に行ったことがない人の中には
    日々の生活や仕事等さまざまな理由で行きたくても行けない人がいる。
    
今回の合宿のリーダーの野村さんから聞いて、はっとした言葉だった。

だけど、私は行くのを怖がっていた人だった。

私は放射線の影響や、腰を痛めていたことで
被災地に行くことを怖がっていた。
行っても、瓦礫撤去なんて腰に負担がかかってできないだろうし
放射線の影響も怖いし、とそう思っていた。

しかし、震災から1年がたった今年の3月に
復興支援のイベントに参加し、Skypeで現地の方の声を聞を聞いて
一歩踏み出すきっかけをもらった。

実際に現地に行った学生の
「瓦礫撤去などハードだけでなく、現地の方と話すことなどソフト面でのケアも現地で必要とされている」
という言葉や、現地の方の
「会いにきてほしい」という言葉を聞いて
「あぁ、私にもできることあるんや」 「現地の方に会いに行きたい」
と思えたことが、一歩踏み出すきっかけになった。

実際に参加してみて私が思ったのは

「何を怖がってたんやろう」ということ。

4日間を振り返ると
私が当初怖がっていたものは、何も怖いものではなかったことに気づいた。

私の4日間は、

目の前の被災地という現実に、思考停止状態になっていた自分。

作業に効率ややりがいを追い求めすぎて、被災地や被災者の方に思いをよせることを
見失いそうになっていたこと。

復幸市場のレジのおばちゃんの、素敵な笑顔。少しだけど楽しかったおしゃべり。

美味しくて、ほんまに美味しくて、絶対また食べに来る!って思えた
美味しいごはんと、気さくな店主のおじちゃん。

唯一合宿中に「怖い」と思った時だって、心の奥底から対話してきた
この人たちの前でなら、「失敗しても、ありのままの自分を受け止めてくれるかもしれない」
と感じることができて、乗り越えられたこと。

最終日のバスで被災地をあとにする時の、自分の心の軽さ

全部、きっとずっと忘れられない。

このブログを書いている今も、
思い出すのは参加メンバーの笑顔や、合宿を支えてくださった方々への感謝の気持ちで
何も怖いものはなかった。

--
もし、今このブログを読んでくださっているあなたが
東北でのボランティアが「怖い」と思って一歩踏み出せずにいるなら
このブログが、一歩踏み出すきっかけになればいいなと、そう思っています。

それは、このクリエイティブの可能性かもしれないし、ピースボートかもしれない。
助けあいジャパンかもしれない。何だっていいと思います。

一緒に「5年後、10年後の東北」に思いをよせ、活動をつなげていきましょう。
きっと素敵な仲間に出会えます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。



@yuri_hamada